平成28年度「家庭の日」作品コンクール 最優秀賞(「家族の優しさ」)

「家族の優しさ」

福島県立郡山養護学校 高等部1  高林 紀香

私は、体に障害をもっているため、家族にはお世話になってばかりいます。

私は、養護学校に通っていて、学校がある日は寄宿舎に泊まっています。そして、休日は家に帰っています。寄宿舎にいる時は、電動車イスに乗って生活し、友達や先生がいるので不自由無く毎日楽しく過ごせています。しかし、家に帰ると寄宿舎生活とは違って、車イスが無いため、親におんぶをしてもらって移動しているので、自分で出来ることが限られています。なので私は、家に帰ることで体を休めることは出来るけど、「家に帰りたくないな。」という気持ちもあり、特に長期休みの時は、体の疲れをあまり取ることができず、疲れたまま学校へ行くこともあります。

夏休みに入り、中学校の時より休みが少し多くなるということで、夏休みは無くていいのではないか、と思った自分もいました。

夏休み中、親は平日出勤で土日しか休みがなく、兄と妹も部活で家にいることが無く、ほとんど毎日、家には私一人の状態でした。父と母は、私のことが心配のようで、「本当に一人で大丈夫?」と何度も聞いてきて、私はそれに「大丈夫だよ。」と答える日々でした。母は、私のことを考えて、お昼は自分で準備して食べられるようなものを毎日作ってくれて、朝は家族分のご飯を作ったり、色々と支度をしないといけないのに、いつもより早起きして、私を起こしにきてくれて、少しでも私を疲れさせないように考えてくれていて、私は母にとっても感謝しています。そして父も、なんでも手伝ってほしいことはやってくれて、母がいない時は私のご飯を作ってくれて、とっても助かっています。

私は、こんなに自分のために一生懸命になってくれる、優しい父と母の子供に生まれてきて良かったなと改めて思いました。

そして、私には、三人の兄弟がいます。夏休みは、兄と妹は部活ばかりでほとんど家にいません。けれど妹は、学校から家までが近いので、私が一人で家にいることを心配してくれて、部活が終わったら早く家に帰って来てくれました。お昼がまだの時は、部活から帰って来たばかりで疲れているはずの妹が、ご飯を用意してくれて、自分のことより、まず私のことを気にかける妹を、とても頼りにしています。こういった面では、私より妹の方がしっかりしていて、お姉ちゃんって感じがします。あと、兄も部活が無い時は、私のことを気にかけてくれて、とっても優しいです。普通、この年になってくると兄と口を聞かなくなることもあるけれど、私の兄弟はみんな仲が良くて、兄弟思いで、私はみんなのことが大好きです。そしてもう一人、姉がいます。姉は、大学へ通っているため、夏休みが始まって少したってから家に帰ってきました。兄と妹は部活があって、私一人で家にいることはほぼ毎日だったけれど、姉が家に帰ってきて一人で家にいることが減ったし、父と母も安心して仕事に行くことが出来て、私も話し相手ができてとても助かっています。姉とは、兄弟の中で一番話が合うので、一日中ずーっと話をして終わったことも何日もありました。課題をやっていて分からないことを姉に聞くと教えてくれて、私一人だったら出来ない事も姉のおかげで出来たし、久しぶりに二人で遊ぶことが出来て楽しかったです。

兄弟三人とも、夏休みだから友達と遊びたいとか、どこかへ行きたいという気持ちはあると思うけれど、私のために協力してなんでもやってくれている姿を見て、私はとても嬉しかったけど、申し訳ない気持ちもありました。改めて、兄弟がいることで助けられていることがたくさんあるのだということに気づくことができて良かったなと思いました。

私は最初、家に帰ると疲れてしまうだろうと思っていましたが、私のために家族全員が少しでも楽しく、疲れないように私の面倒を見てくれたおかげで、ゆっくり体を休めることが出来ました。疲れもそんなにたまることなく、夏休みを過ごすことが出来たので良かったし家族の優しさを改めて感じることが出来た、良い休みだったと思います。

けれどこれからずっと、家族のみんなを頼って生きていくことは出来ないので、自分の出来ることは自分でやり、少しずつ自立していきたいなと決めました。大人になって、家族みんなにお世話になった分、親孝行をしたり、兄弟四人で助け合っていきたいなと思いました。

これからも家族を大切にしていきたいなと心に決めました。