平成29年度「家庭の日」作品コンクール 最優秀賞(五・六年の部)

大好きな家族

白河市立白河第三小学校 6年  先崎ナナ子

 「今日から、いわきに行ってきます。

 みんなでがんばろう。父ちゃんより。」

 私の家のかべには、一枚の手紙がはってあります。七月から、仕事の都合で、いわきへ単身ふ任をしている父からの手紙です。

 いわきでの生活が始まる日は、平日でした。母と私は、先に家を出なければなりませんでした。

 「じゃあね。お父さん。いわきに行ってらっしゃい。またね。」

 と父に声をかけましたが、さみしさと不安でいっぱいでした。ちゃんと笑顔で言えたのか覚えていないほどでした。

 母との二人暮らし一日目。放課後に通っている児童クラブの「学び舎」に、母が全力で走ってきました。息を切らしながら、むかえに来ました。母は、出張や仕事の都合で遅くなることが多く、大体、午後七時ぎりぎりにむかえに来ます。

 「遅くなったね。いつも最後でごめん。」

 あやまる母の言葉を聞きながら、

 「今日から、母と二人きりなんだなあ。」

 とさみしい気持ちで家に帰ると、テーブルに父からの手紙が置いてありました。置手紙なんて初めてでした。短い手紙だけれど、いつもは「父ちゃん」なんて言ったこともない父の手紙におどろきながらも、何だか心の中が温かくなりました。早速、家族の予定表が書いてあるカレンダーの横にはりました。私も母も、毎日見て確認する場所です。

 そして、手紙の中の「みんなで」という言葉を大切にしていきたいと強く感じる生活が始まりました。

 母の帰りが遅い日は、中島村に住んでいる祖父が白河までむかえに来てくれます。祖母が入院中のため、母が病院に行くときは、祖父と夕飯を食べたり、いっしょに布ぞうりを編んだりします。祖父は、手先がとても器用です。

 国語で学習した「大造じいさんとガン」に出てきたいろりの「自在かぎ」や、「わらぐつの中の神様」のわらぐつやぞうりの作り方を知りたいと話すと、作り方や仕組みを分かりやすく教えてくれました。布ぞうりは、祖父が様々な大きさのぞうりが編めるように、編み機をたくさん作ってくれました。形はまだ不格好だけれど、おみつさんのように、心を込めて作ったぞうりは、入院している祖母や出張が多い父と母の「お守り」としてプレゼントしました。みんな、とても喜んでくれました。

 小学校最後の夏休みは、大好きな家族の温かい支えに、「ありがとう」と強く感じることができました。家族がいるからこそ、何でも全力でがんばれる自分がいます。

 これからも、「みんなで」助け合っていくことで、みんなを笑顔や元気にできるように、家族の一員として、生活していきたいです。