第38回少年の主張 福島県大会 優秀賞

絵本が広げてくれた私の未来

新地町立尚英中学校 1年 大須賀萌恵

中学生になって、部活動が始まり、小学生の時に比べて、自由に本を読む時間が少なくなってきていました。しかし、私は、つい先日、久しぶりに、幼いころに繰り返し読んでもらっていた絵本を開いてみました。すると、なつかしさがこみ上げてきて、同時にたくさんのことを思い出しました。

それは、いつも寝る前に、布団の中で母に寄り添いながら、絵本を読み聞かせてもらったこと、そして、絵本の主人公になりきって、姉や妹と遊んだこと。さらに、その頃大好きだった絵本のおもしろさを、たくさんの人に知ってもらいたくて、読書感想画の作成に一生懸命取り組んだことなどです。

さて、私の家には、二百冊ぐらいの絵本があります。その絵本は、孫の私たちが「本を好きになるように。」と、父方の祖母から贈り届けられていたものです。私の記憶が正しければ……保育所から帰ると、玄関に箱が置いてありました。それが、祖母から毎月送られてきていた「絵本」の箱でした。楽しみにしていた絵本が届くと、急いで片付けをして、ワクワクしながら読みました。

絵本を開くと、あっという間にお話の中に入ってしまっていた私。時が経つのも忘れて読みふけっていたものです。それでも、読みきれなかった絵本は、夕食後の我が家恒例の「読書タイム」や寝る前の母の読み聞かせへと持ち越されたものでした。また、「今日は何の絵本を読んでもらおうかな。」と、本棚から絵本を選ぶのも楽しみの一つでした。

私は、今では、絵本ではなく、それなりの年相応の本を読んでいます。それは、中学校での朝の読書の時間と、今でも変わることなく続いている我が家の「読書タイム」においてです。私たち孫三人は、祖母の願い通りに、見事、本好きに育ちました。そればかりか、祖母の影響を受けた母も、娘への読み聞かせだけでなく、ボランティア活動としての読み聞かせの読書活動も行うようになりました。

そんな母から私は、本を読むことで培った想像力や疑似体験が、子供の心にしっかりと残り、いつか困難なことにぶつかった時に、その壁を乗り越える力を与えてくれるということを教わりました。

確かに、私は、読み聞かせをしてもらったことで、想像力が豊かになりました。読み聞かせの時間には、主人公になりきることができました。ある時は、サンタクロースに。ある時は、森の動物に。毎日変わる主人公は、とても楽しかったです。また、自分の限りある一生のうちに到底出会うことができない多くの人物・動植物などの世界も知ることができました。

そして、今では、挿絵のない本も、頭の中で、場所・人物の表情・着ている服など細かいところまで、創造できるようになりました。

さらに、これらのことが、普段の生活にも役立っていると強く感じています。相手がどう思っているのか、想像力を働かせ、相手の気持ちを考えて、行動することにより、周りと穏やかに過ごすことができています。

そこで、私は、より多くの人たちに、絵本・本の良さ・すばらしさを伝えていきたいと考えています。特に、絵本の読み聞かせには、不思議と安心感とぬくもりがあり、優しい気持ちになれるのです。そう、私の将来の夢は「図書館の司書」になることです。現在、多くの人は、幼少期から、ゲーム・スマートフォン・パソコンなどにより、絵本の読み聞かせも本を読む時間も減ってきているようです。

だからこそ、私が絵本から教わったことをしっかりと伝え、たくさんの人の想像力を豊かにすることのできる、そんな司書を目指します。そのためにも、今は、やるべきこと、つまり、勉強と部活動を両立させて、夢に向かって頑張っています。