第38回少年の主張 福島県大会 優秀賞

「挨拶」の大切さ

鏡石町立鏡石中学校 3年 阿部 望花

「おはようございます。」

私の一日は、この言葉からスタートします。それは、家族に対しても、全校生徒に対しても等しく行われる朝の日課のようなものです。

特に学校では、生徒会役員として、毎朝、昇降口に立ち、登校してくる同級生や下級生にあいさつをしています。「おはよう。」「おはようございます。」私たち以上に、大きな声で返してくれる人や、私たちの目を見てあいさつをしてくれる人がいると、「今日は良い日になりそうだな。」と感じます。そして、そんなあいさつを返してくれる人たちも、私と同じく、気持ちよく一日をスタートできるのではないかと思います。

逆に、聞こえないくらいの小さなあいさつや、軽いお辞儀だけをする人、あるいは先生方にだけする人、そして中には、全くあいさつを返してくれない人もいます。私はその度にチクリと胸が痛みます。悲しい気持ちになります。

あいさつの大切さに気づいたのは、朝のあいさつ運動だけではありません。

私が、ソフトボール部に入部した1年生の6月……。当時2年生の先輩は一人もおらず、頼り切っていた3年生も引退して、いよいよ1年生だけで部活動をしていかなければならなくなったとき、部長の私は不安な思いでいっぱいでした。そんな私たちに、当時の顧問の先生が「あいさつ」に込められた意味を教えてくださいました。「あいさつ」は、漢字で書くと「挨拶」ですが、「挨」には「心を聞く」という意味があり、「拶」には「相手に迫る」という意味があるそうです。先生は、「『挨拶』をするときには、相手に対して、素の自分のまま、真っ直ぐな気持ちでぶつかっていこう。」と教えてくださいました。そしてこの日から、「ソフト部をあいさつナンバー1の部活にする」ことが、部員全員の目標になりました。私も、明るく元気の良いあいさつを、自分の方から行うようになりました。

その結果、練習試合の際、他校の先生方から、「鏡中のソフト部はあいさつが素晴らしいね。」と褒められるようになりました。学校改修に伴う引っ越しの際にも、「ソフト部はあいさつが良いから。」という理由で、先生方からいろいろな仕事を頼まれました。私はとてもうれしいことだと感じました。なぜなら、信頼されているからこそ、仕事を任せてもらえるからです。その信頼の元となったのは、「挨拶」にちがいありません。だから私は、後輩たちにも「挨拶の大切さ」を伝えました。私たちが引退した後も、次の代、またその次の代に、「挨拶の大切さ」を伝えていってほしいです。

また、「あいさつ」に関して、よく耳にする言葉があります。それは、「あいさつは身を守る」という言葉です。日頃から、誰に対してもあいさつをしていれば、自分が困難に直面したとき、周りの人が助けてくれるというのです。これも、あいさつによって、信頼感が生まれるからだと思います。

逆に「あいさつ」ができないと、「ああ、この人はあいさつもできない人なんだ。」と、悪い印象を持たれます。あいさつは、礼儀の基本であり、社会の中で生きていく上で、とても大切なものだからです。

「おはようございます。」「こんにちは。」「よろしくお願いします。」「ありがとうございました。」「さようなら。」心を込めた「挨拶」は、他の人を良い気持ちにさせ、信頼感をも生み出します。だから私は、これからも自分から進んで、元気の良い挨拶をしていこうと思います。挨拶の大切さを教えてくださった先生の教えを忘れることなく、守っていきます。