第38回少年の主張 福島県大会 優良賞

悩みと上手に向き合うために

白河市立白河第二中学校 3年 櫻井宗一郎

二年生の冬、生徒会会長選挙で落選した。「もしかしたら…。」と心の中で不安に思っていたことが的中してしまった。今まで生きてきた中で一番の挫折だった。

以前から生徒会役員として、壮行会、生徒集会、学区内の清掃ボランティア、文化祭など、自ら進んで取り組んでいた。そして、企画が無事終わる度に、みんなが喜んでいる姿が何よりも嬉しく、誇りだった。その経験を生かし、学校で支える中心として活躍したいと思い、生徒会長に立候補したのだった。

しかし、選挙への道のりは簡単なものではなかった。他の候補者と自分を比べては自信をなくし、だんだんと心細くなり追い詰められていった。

その結果友達の励ましの言葉でさえも素直に受けとめられず冷やかしにしか聞こえなくなってしまった。

私は自分の殻に閉じこもってみたものの一人では抱えきれなくなり家族に、落選した悲しみ、真剣に考えた生徒会活動への思いが受け入れられなかった悔しさ、これから何をやっても失敗してしまうのではないかという不安など、今まで我慢していた気持ちを話した。

私の様子を心配してくれた先生が掛けてくれた言葉がある。

「学校は生徒会長だけが引っ張るものではないんだよ。生徒会全員で支えていくんだ。だから、生徒の中で頑張って引っ張っていけば、会長以上の力が出せると思うよ。」

私は、人に認められたり信頼されたりするためには肩書きや立場といったものが必要ではないか、という考えを持っていたのかもしれない。しかし、先生からの言葉はその考えを根底から覆すものであった。役職にこだわらなくていい。一人で頑張らなくていい。みんなで頑張ればいい。私は、新たな目標に向けて一歩踏み出す勇気をもらった。

昨年、白河市と姉妹都市である桑名市、行田市の中学生といじめについて考える「いじめフォーラム」に参加した。どうしたらいじめがなくなるのかという難しいテーマに頭を悩ませられたが、学校、学年は違っても中学生同士でそれぞれの思いを語り合っているうちに心が熱くなり、とても勇気が湧いてきた。そのとき、桑名市の生徒から、「連鶴」の折り方を教えてもらった。1枚の紙からつながった鶴が出来上がる。何羽もつながる折り方もあるそうだ。1羽より2羽、2羽より3羽のほうが心強い。一緒に鶴を折りながら新しくできた友達は、笑顔で話してくれた。

「学校でも、仲間が多い方がいいよね。」

自分の思いを仲間に共感してもらえることは心地よい。また、一人では考えつかなかったのに、周囲からのアドバイスが背中を押してくれるときもある。様々な困難を乗り越え、悩みを解決できたときには自分の自信につながった。

近頃起きている私と同じ世代の悲しい事件や事故。どうしてそんなことが起きてしまうのだろうか。もしかしたら彼らも「悩み」を抱え、それを解決するための方法を誤ってしまったのではないだろうか。家族や友人に心配をかけたくないからと誰にも悩みを打ち明けず、一人で抱えこんでしまい、悲しい結果を引き起こしているのではないだろうか。

「悩み」は一つ解決しても、また別の「悩み」が生まれ、消えることはない。しかし、「悩み」は人を成長させてくれるものではないだろうか。周りの人に相談し、その中で自分なりの考えをまとめる。解決に向けて一つ一つ努力をする。この期間は辛く苦しい日々になるだろう。しかし、そうやって心が鍛えられ、次の壁を乗り越えるための力を身につけるのだ。

「悩む」のは決して悪いことでない。ぜひ「悩み」は抱え込まずに共有しよう。それは素晴らしい未来を切り開くための通過点なのだから。

そして今、私は規律委員長になり学校を支えようとしている。みんなを少しでも励ますように、仲間はそばにいるという願いを込めて、今週も朝会で挨拶する。

「おはようございます。」