第38回少年の主張 福島県大会 優良賞

これからの北塩原を思う

北塩原村立第一中学校 3年 大竹 健生

僕は北塩原村が大好きです。生まれ育った場所だから当然だろうと思う人がいるかもしれませんが、心から好きだなあと思えます。特に毎日学校に通う通学路からは、四季折々の美しい山なみが見え、春から初夏にかけては、すがすがしい風が吹きます。そんな自然を肌で感じながら、「北塩原っていいなあ。」と思います。「日本で一番美しい村連合」に加盟する自然が、豊かなのが本当にすばらしいです。

ところが、最近「村の子供達が少なくなったなあ。」とか「若い人は村から出て行くなあ。」などといった話が耳に入ってくるようになりました。今までは、僕自身が幼くて大人たちの話題が分からなかったのだと思いますが、中学3年生となった今、僕はこれからの北塩原村を考えていかなければならないなと、ぼんやり考えるようになりました。そして、僕にできることはないだろうかと思うようになりました。

それで、僕は、北塩原村のよさを考えてみました。最も良いと思う点は、なんといっても地域の人々とのつながりが強いことです。

例えば、朝、登校するときは、見守り隊の方々が「おはよう」とあいさつしてくださり、「今日は暑いな。」とか「今日は学校で何かあるの。」などと、声をかけてくださいます。僕は、その方々の姿をみるとほっとした気持ちになり、声をかけてもらうと心がなごみます。学校の行事でも強く感じます。毎年行う稲作体験活動では、地域の講師の先生が田んぼを提供してご指導下さいますし、文化祭の時は、異世代交流として、地域の方々がたくさんいらっしゃって、水墨画、手芸、将棋、華道、茶道、ストロー細工などを教えてくださいます。技術を教えてもらうこと以上に、ちょっとした会話から、地域の方々のあたたかさを感じ、僕達は地域の方々にも育てられていると思える時間になります。僕は、1年生の時は手芸、2年生の時は将棋を教えていただきましたが、教えて下さる時の口調がとても穏やかで分かりやすく、地域の子供を思っているやさしさを感じました。北塩原村には、このような人と人とのすばらしいつながりがあるのです。

では、なぜ北塩原から人が出ていってしまうのでしょうか。一つには、村に大きな産業がなくつける職業が限られていること、また大きな病院がなかったり、交通の便も良くないなど生活をするのに非常に不便なことなどが考えられます。次に、この人と人とのすばらしいつながりのある北塩原村がさらに栄え、人が集まるような村にするためにはどうしたらいいのか考えました。人間は一人では生きられません。誰かとつながり共に生きていく動物です。村も同じです。しかし、この村は観光地の裏磐梯地区と北一中学区とで分かれている印象があり、生活圏も違っています。同じ村内とはいえ共通した思いが薄く、村全体の結びつきが弱くなっていると思います。だから、この二つの地域のつながりをもっと強くし、村としての力を向上させなければならないと感じます。

そのために僕たちはどのような努力を、これからしていったらいいのでしょうか。まず一番大切なのは、お互いの地域の方々と積極的に関わること、あいさつはもちろん、お互いの地域の行事には積極的に参加するなど、共同意識をもって村のことを考えていくことが必要だと思います。交流を深める場があるとお互いの理解も深まり、助け合う気持ちがでてきます。それは全体として村の力になるはずです。また、産業が新たに起こったり、新しい考え方も交流から生まれてくると思います。だから、これはこれからの僕たちが心がけたいことです。

美しい自然と人と人とのつながりがある北塩原村。人も自然も僕は本当に大好きな村です。だからこそ、このつながりをさらに強め、他の市町村に負けない美しさをもった豊かな村を僕達みんなで築いていけたらと思います。