第38回少年の主張 福島県大会 優良賞

幸せを感じられる町に

猪苗代町立東中学校 3年 小檜山桃実

私たちのふるさと、猪苗代町。春は観音寺川の桜が美しく咲誇り、夏は澄み切った青空が広がり、湖水浴やマリンスポーツを楽しむ人でにぎわいます。秋になると木々が真っ赤に色づき、冬になれば一面の銀世界。雪を待ちわびた多くの人がスキーやスノーボードを楽しみます。四季折々、様々な美しさを見せる猪苗代町。一年を通して、様々なスポーツやレジャーを楽しめる猪苗代町。

私たちは去年、「猪苗代町の未来を創造しよう」というテーマで社会の授業を行いました。授業の中では、猪苗代町の良さがたくさん挙げられました。しかし、問題も挙げられました。「電車の本数が少なく、不便だ」「手術などができる大きな病院がない」「大きな商業施設がない」「少子高齢化が急速に進んでいる」ということでした。私は大好きなふるさと猪苗代町がこんなにもたくさんの問題を抱えていることに驚きました。そして今後どうすべきなのかについて考えました。電車や病院、商業施設などの充実。実現すればうれしいのですが、町の人口や利用者数、を考えるとすぐに実現するのは難しいと思います。また、多くの人が車で移動していることを考えると、電車や病院、商業施設の問題は二次的な問題だと思います。

では、一番に考えなければならないことは何なのでしょうか。私は「少子高齢化の進行」だと思います。少子高齢化の問題は猪苗代町に限ったことではなく、日本の多くの市町村が抱えている問題です。私たちはその点もふまえて話し合いを行いました。「子どもを生んで育てやすい環境づくりや支援」「高齢者が安心して暮らせるための支援」などの意見が出されました。確かに少子高齢化の問題は社会制度の改革が大切です。しかし社会制度にばかり目がいってしまうと肝心なところが抜け落ちてしまいます。その一番肝心なところとは、私たちがこの町で暮らす中で幸せを感じられるかどうかだと思うのです。私たちの町が「幸せを感じられる町」であれば、住民の移動も減るはずです。そして今以上に観光客が増える可能性も出てきます。観光客のリピーターが増えるかもしれません。さらには猪苗代町に移住される方が増えるかもしれません。

では具体的にどのようにすれば「幸せを感じられる町」になるのでしょうか。それにはまず、猪苗代町が誇る自然環境の美しさや豊かさを一人一人の町民が心から愛し、猪苗代町を訪れてくれる方と共有していくことだと思います。猪苗代町にはリゾートホテルやおしゃれなカフェ、猪苗代ならではの物産を取り扱うお店など観光スポットがたくさんあります。お客さんが単に観光を楽しむだけではなく、それ以上の何かを感じてもらえるように努力すべきだと思います。また猪苗代町では数多くのイベントが行われています。スポーツイベントや文化的なイベントで迎える側の町民と参加者との間に生まれる交流を大切にすること。また都会での生活から自然豊かな環境で農作業などを楽しみながら生活するスローライフを望み、第二の人生を送る人も多いと聞きました。そういった方々を温かく迎え入れ、新たなコミュニティを作ること。

「幸せ」とは人と人が直に触れ合う中で生まれ、広がっていくものだと思います。

少子高齢化の流れを完全に止めることは難しいでしょうが、少子高齢化の流れをゆるやかなものにし、また少子高齢化のマイナス面だけを見るのではなく、前向きなとらえかたをするためにも新たな町づくりを進めてはどうでしょうか。猪苗代町が「幸せを感じられる町」になり、「一度は行ってみたい町」から「また訪れたい町」へ、そして「住みたい町」になりますように、私は願っています。