第39回少年の主張 福島県大会 優良賞

地域の輪-チーム桶売-

いわき市立桶売中学校 3年 根本 真佑

 突然ですが皆さん、皆さんは「地域の人」と聞いて、どんな人を思い浮かべますか。多くの人が家の近くに住んでいる近所の人を思い浮かべたかもしれません。ですが、それだけではありません。保護者会の人や青年会、消防団の人たちもすべて「地域の人」です。

 私の住んでいる桶売地区は、三つの山に囲まれ、自然豊かな地域です。家と家との間が離れており、簡単には行き来することができません。また、中学生が全学年を合わせても11人しかおらず、子どもの数も少ない地域です。しかし、小学校や「地域の人」とのつながりが強いという桶売ならではの良さがあります。私たちはこのつながりを「チーム桶売」と呼んでいます。

 「チーム桶売」の力は私たちの学校生活を支えています。例えば、運動会。小学校と中学校が合同で行います。さらに、地域の保育所の子どもたちや敬老会の方々も競技に参加します。つまり、「地域の人」と一体となって学校行事を作り上げているのです。

 私はこの運動会に9年間参加してきました。ですが、それも今年で最後となりました。あいにくの空模様の中、体育館で行われた運動会。小学生によるソーラン節や綱引き、玉入れといった毎年行ってきた競技が次々と終わっていく中で楽しくもどこか寂しい気持ちを感じていました。私はその思いを隠すように地域の人の声援に混ざって、声を大きくだしました。

 熱戦のすえ、白組の優勝で終わった運動会。全員で片付けをしていると、知らないおばあさんが私のところへ近づいてきました。

 「今日は楽しかったよ。ありがとう。」

 笑顔で帰っていくおばあさん。周りを見ると足を運んでくれた人たち全てが笑顔でおしゃべりをしたり、片付けをしたりしていました。それを見て、私も自然と笑みがこぼれました。そして胸の奥がぽっと温かくなりました。

 このようなに運動会をはじめとして、一人暮らしの老人に手紙を出す「ふれあい郵便」や「正月飾りづくり」などの行事をきっかけに地域のほとんどの人たちとは顔馴染みです。顔馴染みになったことで、様々な場面で声をかけてくれます。日々の挨拶はもちろん、自分の成長をまるで親戚の一人のように気にかけてくれます。一人になることがなく、常に誰かが見守ってくれている温かさを感じます。

 この「一人にさせない」「地域で見守る」という二つこそ、今日本で起きているさまざまな犯罪や非行を防止するのではないかと私は思います。今年になって、幼い子どもたちが登下校の途中に事件に巻き込まれ、犠牲になってしまうという事件が起こりました。このような事件も登下校を見守る人の数を増やしたり、大人も子供ももっと日常的に会話をしたりすることによって防ぐことができたのではないでしょうか。地域全体で一人一人を見守ることは、周囲から孤立することをなくします。もし、誰かが犯罪や非行に走りかけたときには、それを注意することができます。多くの人が悲しみで涙を流す前にとめることができるのです。

 一人にさせない。必ず「地域の輪」の中に全員がいることが、私たちの目指す明るい社会づくりにつながっていくのです。