第39回少年の主張 福島県大会 優良賞

僕の挑戦は海を越えて

棚倉町立棚倉中学校 2年 須田 大健

 「どうして英語を勉強するんだろう。」今から1年前、まだ中学校に入学したばかりの頃に、僕はそんなことを考えた時がありました。小学校でも英語に触れてはきましたが、棚倉町では学校以外で外国人と出会う機会もなく、僕自身まだ英語を使う機会に出くわすことはありませんでした。そのため、僕は英語を実感できていなかったのです。

 入学してからしばらくし、棚倉中学校にオーストラリアのレイクマコーリー市にある、カーディフ高校から、生徒達が来ることになりました。そして、日本の文化の一つとして、武道であり、僕が部活動で取り組んでいる剣道を生徒達が体験することになりました。それで、剣道部員が教えてあげることになり、実際にやって見せたり、竹刀を握り、面を打ってもらいました。しかし、まだ英語が未熟だった僕は、どう伝えればよいのか分からず、ジェスチャーで伝えました。伝わるには伝わったものの、自分の頭の中で考えていたことが上手く言葉で言い表せず、もどかしかったです。この時僕は、「もっと英語を勉強して話せるようになりたい。」そう心の中で強く思いました。この日の出来事をきっかけに僕は熱心に、そして努力して英語に取り組むようになりました。そのお陰か、僕はとても英語が好きになりました。

 それから半年ほど経ち、英語も自分の得意分野の一つになり、少し自信が持てるようになった頃、ちょうどオーストラリアホームステイへの募集が来ました。僕は、日本から離れて生活し、その国の文化を体感したいという思いと、自分の力、すなわち学んできた英語を実際に使い、どれくらい通用するのか試してみたいといった思いから、迷わずに参加することにしました。

 このホームステイの旅に出発し、飛行機に乗ってからは、僕はとてもワクワクする気持ちで眠れないほどでした。それは、飛行機に9時間乗るだけで、もう日本ではない国に着いてしまうのだということと改めて実感したからです。しかし、一番の理由は、今回僕がカーディフ高校で代表の挨拶のスピーチを英語することになっていたからです。そして、この体験は僕にとってオーストラリアでの最初の試練であり、良い挑戦であると思っていたからです。日本でする発表とはまた違ったものなので、それも楽しみにしていました。

 そしてついに発表の当日となりました。ふと周りを見てみると、中学生の他に高校生もいたので大勢の生徒が集まっていました。700人近くいたそうです。いつもの発表と違い、聞いている人がとても多く、発表する場所も中庭でした。まだ、慣れてもいないオーストラリアの生活に加えて、この状況だったら絶対に僕は緊張していたはずです。けれどもこの時だけは、不思議と、全く緊張しませんでした。なぜかというと、この発表の日の前日、初めてカーディフ高校を訪れたときに、生徒達が僕達を暖かく歓迎してくれ、安心感が得られたからです。「彼等なら真剣に僕の発表を聞いてくれるだろう。」そう信じて、「僕ならできる。」と心の中で言って、発表をしました。1年間積んできた努力の成果を発揮しようと、一文一文感情を込め言いました。その中で最も良かった文、「If you happen to see me, don’t be afraid to call out, Hello, Hiro!」(もし私を見かけたら、恐れずに声をかけてください。こんにちは、ヒロ!)を、自信を持って言ったらみんなが笑ってウケてくれました。これは成功したなと自分でも分かりました。こうして無事に発表が終わった後、僕はとてもホッとしましたが、何よりも、発表内で僕が言ったように、カーディフ高校の生徒が、僕に会う度に、「ハイ、ヒロ!」などと言ってくれたことが一番嬉しかったです。ついに自分の思いを伝えることができたのだと。外国で発表する機会なんてめったに無いと思うので、そのチャンスを与えてくださった先生方にも感謝します。

 この旅は僕にとってとても素晴らしいものになりました。自分が目標としていたことを達成できたことや、自分の目で、より広い世界を見られたからです。そして、やはり思ったのは、「もっと英語を相手に伝わるように話せたら、よかったのに。」です。多くの人々と関わるために、英語が必要不可欠だから勉強するのだと実感することができました。

 オーストラリアに足を運び、僕は成長したと思います。今までの悩みも随分とちっぽけなものだったと気付きました。僕は、この経験から自分に自信を持ち、日々を歩んでいきたいと思いました。そしてこれから、英語をさらに勉強して、より広い視野を持とうと思います。いつの日か再びあの地を訪れるまで。