第40回少年の主張 福島県大会 優秀賞

「本気でやれば」

須賀川市立小塩江中学校 3年 大槻 尚生

 「では、投票の結果、応援団は大槻尚生君に決定しました。」

 「えっ。ちょっと待ってよ。俺、確かに声は大きいけど、応援団なんて自信ないよ。」

 中学1年の3学期。次期応援団長を選出するための学級会が開かれました。立候補はなく、投票で決定となり、そこで私が最多の票を獲得してしまったのです。応援団ぐらいやればいいじゃないか。そう思う人もいると思います。しかし、学年1クラス、全校生40人弱の我が校では、1年生から一人だけが団員となるのです。「せめてもう一人ぐらい増えないかな。」ぼそりとつぶやいても、誰の耳にも届きません。決定ムード一色だった雰囲気に飲まれ、私は、「やります。」と言わざるを得ませんでした。

 2年生になり、応援団の練習が始まりました。しかし、私は「ああ、つまらないな。」そんな中途半端な気持ちで練習に参加していました。「好きでやってるわけじゃない。やれって言われたからやってるんだ。」そんな思いが心のどこかにあったのだと思います。

 今となってみれば、やる気のない態度を取っていた私は、本当にダメだったと思います。しかし、そんな私を支え、変えてくれたのは、その時の応援団長でした。先輩は、堂々と自分の意見を言い、誰かが困っているときには、丁寧にアドバイスしていました。そして何より先輩は、練習でも本番でもいつも本気で応援していたので、誰からも慕われ、応援団長を楽しんでいるように見えました。「いつか俺も先輩みたいに頼られる団長になりたい。」自然にそう思えるようになりました。

 その年の文化祭で私は、先輩とエールの交換をして応援団長を受け継ぎました。その時の先輩のエールを私は今でも忘れません。自信と力強さの中にどこか寂しげな空気を漂わせていました。私は、そのエールの中に「応援団を頼むぞ。後悔しないようにしっかり頑張れよ。」というメッセージを確かに感じたのです。それ以来私は、練習だろうが本番だろうが関係なく、本気で応援をし、さらに次のような誓いを立てました。

 一、誰よりも早く練習に行くこと。

 一、率先して準備・後片付けをすること。

 一、誰よりも声を出すこと。

 私は、これをとにかくやり続けました。するとそのうち、「行動が素早いね。」「声、出てるね。」と言ってもらえるようになったのです。「本気でやると伝わるんだな。」本気でやる。それはいつしか私の軸となり、行動の指針となりました。

 応援団の活動は、私に「楽しいからやる。」ではなく、「本気でやるから楽しくなる。」ということを教えてくれました。世の中には、全力を出し切ってダメだったらショックだろ。本気出すとかダルい。そんな風に思っている人もいるかもしれません。しかし私は、そんな人たちに言いたいのです。「本気でやれば楽しくなる。本気でやれば道が開ける。」と。中途半端は楽しくありません。物事を楽しくするかどうかは自分次第です。だから、私は、自分自身を奮い立たせ、今日も本気で、頑張る友を応援します。

 「フレー、フレー、小塩江!」