第40回少年の主張 福島県大会 優良賞

私と命

会津坂下町立坂下中学校 3年 小林 桃花

 私は、とっても小さい中学3年生です。身長は134センチメートル。小学3年生の平均身長と同じ高さです。

 背が低くてもいいことはあります。私が習っていたダンススクールでは、その振りを踊る場所が身長順に決められることが多いので、一番小さい私は前に立つことができて、少し目立って「ラッキー!」と思ったり、体重が軽い私は部活のトレーニングで少し楽ができたりしました。

 ですが、背が低くて嫌だなと思ったことのほうが多いです。高いところにある物が取れなかったこと。アトラクションなどで身長制限がある乗り物に乗れなかったこと。バドミントンのネットの高さより低くて笑われたこと。小学生と比べられたこと。そして、一番傷ついたことは小学生と間違われたこと。

 中学生の同級生や後輩に、

 「先輩は、どうしてそんなに小さいのですか。」「なんでそんなに小さいんだ。」

 と、何度も聞かれます。その時は、

 「親も小さいんだよね。たぶん遺伝子なんだよ。仕方ない、仕方ない。」

 と言ったり、

 「牛乳飲んでないからかな。」

 と、毎回笑い話のように話を進めています。

 最後は、

 「そういうこと言っちゃだめだよ。」

 と、まるで幼い子をしかっているような言い方をして話を終わらせていますが、誰も私へのからかいを止めてくれません。外見は傷ついていないように見せていますが、内心はとても傷ついています。

 小学6年生の時には、背が低いことが原因で、心ない言葉に加え、暴力まで受け、いじめを経験しました。担任の先生や校長先生、そして両親に話し、いじめた人たちは指導され、解決はしましたが、心身共に傷つき、その時から学校の友達が発言する言葉が信じられなくなっている自分がいました。また、努力しても他を信じるまでに時間がかかるようになっていました。

 みなさんは私を見て、どんなことを思いましたか。「小さい人だな。」「本当に中学生かよ。」と、こう思ったかもしれません。私は、その人のことが嫌いです。そして、私を「小桃」というあだ名で呼び、

 「小桃って小さいけど、本当にかわいいよね。」

 と言う友達がいます。

 「お前って、本当にチビだよな。」

 と言う同級生の男子がいます。私は、「あなたは小さいです。」と平気で言ってしまう人、思ってしまう人も、はっきり言って嫌いです。

 中学2年生のとき、中学校をもっと良くしていきたい、あいさつで笑顔の花をもっと増やしたい、そんな思いがあり、生徒会選挙で生徒会長に立候補しました。そして、思いが通じたのか、生徒会長になることができました。心の隅には、「生徒会長になったから、私のことをからかう人はいなくなるだろう。」という願いがありましたが、それはかないませんでした。

 なぜ、私はこんなに小さいのだろう。遺伝子だからなのか。仕方ないことなのか。そんな思いが渦巻いて、一刻も早くここから逃げてしまいたいような、死んでしまいたくなるような、そんな思いばかりがわき起こってきていました。

 テレビやネットのニュースでは、毎日のように殺人事件が取り上げられています。銃やナイフで人の命を奪う人がいます。私はそんなニュースを聞くたびに「命をもっと大事にしろよ」と思っていましたが、死んでしまおうと考えていた私にも、この考えは当てはまっていたことに、ふと気づきました。

 生きたくても生きられない人がいる。私たちは、その人の分までがんばっていかなければいけない、諦めてはいけない、困難に負けない方法もあるはずだ。最近はそういった考えをもって、物事にあたろうとしている自分がいます。

 これからもからかわれるかもしれないけれど、その時は、嫌という考えをしっかり伝え、からかわれないよう努力をしようと思います。

 私は、とっても小さい中学3年生です。ですが、誰にも負けない心、そして勇気をもち、命を授けてくれた両親や家族、大切な人のために、星になってしまう人の分まで一生懸命生きようと思います。