第41回少年の主張 福島県大会 優秀賞

私たちが学ぶ国際理解

二本松市立二本松第三中学校 3年 守谷花音

 世界のリアルが指一本で瞬時に検索できる今、世界について、私たちが真に見つめ、耳を傾け、学ぶべきことは何でしょう。

 この世界を考える時、私の心に残る出来事があります。それは、史上最年少でノーベル平和賞を受賞した、マララさんの国連でのスピーチです。「本とペンを手に取ろう。それが一番強い武器。一人の子供、先生、そして本とペンが世界を変える。教育こそが全てを解決する。」この言葉は、私に大きな影響を与えました。私たちが、毎日当たり前に通う学校も、学ぶことができない環境に身を置く子供たちには、手を伸ばしても届かない、遥かな望みです。私たちの当たり前は、世界の当たり前ではないことを知った瞬間でした。また、マララさんは、こうも言っています。「この賞は、ただ部屋にしまっておくためのメダルではない。終わりではなく、始まりにすぎない。」と。命を狙われ、それでも信念を曲げることのない十七歳の少女が、堂々と発した言葉は、私に驚きを与え、私の世界を広げてくれました。

 さらに、世界について考えた経験があります。私は、昨年の夏休みに研修の機会をいただき、世界を圧倒する経済大国、アメリカを訪れました。世界経済の中心地マンハッタン、流行の発信地ニューヨーク等を目のあたりにして大変有意義だった一方、国連本部を見学した時、私は大きな衝撃を受けました。目の前で刻々と増えるデジタル数字板。赤く光るこの数字は、その日その時間に、世界中で使われている軍事費です。毎日午前〇時にリセットされるにも関わらず、午前の見学時で、すでに二十億ドルでした。世界の軍事費は、一年間で三千五百億ドル。日本円にして三十八兆五千億円です。この莫大なお金が、本来の平和から遠いところで、誰かを苦しめながら、誰かの利益のために使われているのだとしたら、私たちはNO!と言わなければなりません。

 世界には、貧困や内戦により、深い苦しみ、悲しみの中で、今この時も、命を落とす数多くの人がいます。私たちが耳にする、何十万人という犠牲者の数、何百万人という難民の数、一千万人を超える避難民の数。これは命の数です。この多くに、本当ならば守られるべき、毎日を笑顔で過ごすはずの、未来ある子供たちがいるのです。世界は国境で区切られてはいるけれど、地球儀を回しながら私は、「いや、世界は一つだ。」と強く思います。

 私には、大好きな言葉があります。それは、「学ぶことは、困難を乗り越える判断の引き出しが増えること。」です。これは、マララさんの言う、「教育こそが全てを解決する。」と同じことです。私たちは、今、人生の入り口に立っています。そこは、学びの入り口でもあり、世界の豊かさも、格差も残酷さも知ることができます。私が、これから開く扉の向こうには、今までよりも、もっとグローバルな世界が広がっています。その扉を一枚ずつ開けるたびに、私たちは、判断力や想像力を試されます。そして何より、決断力・行動力を試されるのです。「あなたはどう思いますか。何をしますか。何ができますか。」と、問われるのです。

 世界中のリアルな現実を瞬時に知ることができる私たちに、今求められるのは、多様な社会の中で、異なるものに寛容であるために必要な、価値観を身につけていくことです。自分だけが正しいというしなやかさを失った正義は、対立を生みます。私たちは、違いを認め合い、尊敬し合って生きるべきなのです。そのことで、自分をより一層、知ることができるはずです。私も、他者に満ちている、美しいこの星の一人です。私以外の多くのものを知るために、私たちは学びます。そして、学んだその先には、また、新しい扉が私たちを待っています。