第41回少年の主張 福島県大会 優良賞

私の「おもてなし」~2020から~

会津若松市立一箕中学校 3年 齋藤 瞳

 「O・MO・TE・NA・SHI」

 「おもてなし」みなさんは、この言葉を覚えていますか。六年前の九月。オリンピックの東京招致を目指し、滝川クリステルさんが行ったプレゼンテーションの冒頭です。滝川さんが紹介したのは、日本人ならではの「おもておなし」の精神でした。

 私は、幼い頃からオリンピックが大好きでした。テレビで放映されるアスリートの活躍に夢中になり、どこの国の選手でも同じようにテレビに向かって大きな声で応援していました。そんな大好きなオリンピックが東京で開かれる!滝川さんの笑顔を見ながらドキドキ、ワクワクしたのを覚えています。

 せっかく日本でオリンピックがあるのだから少しでも関わる事ができないだろうか。私は、ずっと考えていました。そんな私に、母が、「オリンピックのボランティアを募集しているよ。申し込んでみたら。」と勧めてくれました。「ボランティアってどんな事をするの。」早速調べてみた私は「これだ!」と思いました。都市ボランティアは、東京オリンピックを開催するにあたり、国内外から来る観光客の「おもてなし」をする仕事です。私の頭の中には、昔見た滝川さんのあの笑顔が浮かびました。「ぜひ、都市ボランティアをやってみたい。」迷わずボランティアに登録しました。

 そして今年の四月。都市ボランティアとしての採用通知が届いたのです。念願のオリンピックに関わる事が出来る。私は、喜び勇んでオリエンテーションに参加しました。中学生から六十代くらいの方まで、幅広い年齢の方がいらっしゃいました。震災ボランティアの経験から申し込んだ人。オリンピックをきっかけに人のために働こうと考えた人。みんな、都市ボランティアへの動機や思いを熱く語っていました。私は、大好きなオリンピックに関わりたい。自分の英語がどのくらい通じるか試してみたい。という理由で応募していました。私は話しているうちに急に恥ずかしい気持ちになっていきました。私と他のボランティアの方々には決定的な違いがありました。私は「自分のために」行うボランティア、他の方は「みんなのために」行うボランティアだったのです。「私は自分の事しか考えていなかった。このままではいけない。」オリエンテーションに参加したことをきっかけに「自分には何ができるのか。」真剣に考えるようになりました。

 会津に来てくださった観光客を「おもてなし」する。本当の「おもてなし」とは何なのでしょうか。会津の都市ボランティアとしての「おもてなし」とは、「裏表なく、心からの歓迎の気持ちをもってお客様に接すること。」「大好きな会津の良さを感じてもらうこと。」ではないでしょうか。会津の美しい景色を見てほしい。おいしいものをたくさん食べてほしい。会津の歴史と先人の教えを知ってほしい。やりたいことがたくさん浮かんできました。オリンピックに来て、会津に来てよかったと喜んでもらえたらうれしいなあ。と、強く感じました。

 会津の都市ボランティアとして、私にできる事は何か。来た人に心からの「おもてなし」をして喜んでもらう。そして、一緒に喜ばせてもらう。私にできることは、「喜ばせっこ」だと考えました。この「喜ばせっこ」は、これからの私の生き方にもつながるものです。学校で、社会に出て、私がしたことで周りの人に喜んでもらえたら私も幸せに生きていくことができます。今、いじめなどの問題が話題に登ることが少なくありません。「いじわるをしたら、いじわるが返ってくる。」そんな問題があるからこそ、「喜ばせっこ」がみんなに広がって、みんなが幸せに気持ちよく生活できるように、私が行動で発信していきたいです。そのために、自分をしっかり磨いていきます。

 そして、2020年。私のオリンピックは、会津でみんなを「喜ばせること。」=「おもてなし」からはじめます。