第41回少年の主張 福島県大会 優良賞

「そのこ」たちの未来のために

南相馬市立原町第一中学校 3年 佐藤茅音

 皆さんは、詩人である谷川俊太郎さんの詩『そのこ』をご存知ですか。私は、この詩を道徳の教科書で知りました。まだ、授業では扱ってはいませんが、休み時間に、教科書を何気なくめくっていたときに、そのページが、私の目に飛び込んできました。

 『そのこ』という詩は、発展途上国の子供たちの姿を詠んだものです。この詩は、十四歳の私の心を大きく揺さぶりました。これまで考えたことのなかった児童労働や子供兵士の存在。谷川俊太郎さんの『そのこ』は「もっと視野を広げて。世界を見て。」と私に訴えかけているように感じました。

 同じ地球にいながら、同じ子供であるのに全く違う生活をしている「そのこ」たち。その詩を読んだ、その日から、詩の最後の二行『そのこのみらいのためになにができるのかだれかぼくにおしえてほしい』というフレーズがどうしても私の頭から、離れなくなりました。

 私は、『そのこ』という詩を通して、現状を変えなければならないことを強く実感しました。私にできることは何だろう。何かしなければならない。でも、中学生の私にできることがわからない。「だれかわたしにおしえてほしい」そう、切実に思いました。

 私たち子供には「権利」があります。「生きる権利」や「教育を受ける権利」など、さまざまな権利が……。これらは、世界中の全ての子供たちが持っている「権利」のはずです。それなのに、ある国の子供は、生き残るために戦争に行き、ある国の子供は、学校にも行けずに働いています。

 私は、毎日、何も考えることなく学校に通っていました。特に食べることに困ることもなく、毎日、生活していました。守られているなどと意識することなく生きていました。疲れたな、何か、甘い物が食べたいな、と言っては、チョコレートを簡単に口にしていました。しかし、そのチョコレートさえも、実は、児童労働がなければ食べられないものだったのです。それを知ってしまったら、申し訳なくて、簡単にはチョコレートを食べられなくなります。だからといって、私たちがチョコレートを購入しなくなれば、「そのこ」たちの生活は、ますます苦しくなるという現実もあるのです。何とかしたい、どうにかしたいと思えば思うほど、どうしていいのかわからなくなります。「だれかわたしにおしえてほしい」私は、また何度も同じことを考えました。

 それでも、一つのこれだ!という完璧な応えはでません。世界には、簡単には解決策を考えだせない深刻な問題がたくさんあるのだと気づかされました。

 そうであっても、「そのこ」たちに、直接何もできないもどかしさを感じながらも私は「そのこ」たちに、「そのこ」たちが望んでいる生活に少しでも近づけるお手伝いができればいいと考えました。

 そこで、私は、これから、次の三つのことを実行していきたいと思います。まず、一つ目は、生徒会役員として、他の役員と協力しながら、今まで以上に、世界の子供たちとつながっていけるような募金活動を積極的に行っていくことです。

 二つ目は、以前から、人のために役立つ仕事がしたいと思っていたこともありますが、『そのこ』の詩をきっかけに、「ユニセフ」について調べたことによって、「ユニセフ」に関わる仕事がしたいと考えるようになりました。ですから、そのためにも、今、中学三年生として、日々の一時間一時間の授業を大切にし、自分を高めていくことです。

 三つ目は、いつでも「そのこ」たちを身近な存在として、「そのこ」たちに思いを寄せて生活することです。「そのこ」たちの未来のために、ぜひ、皆さんも「そのこ」たちに思いを寄せてみてください。