第41回少年の主張 福島県大会 優良賞

もったいない

白河市立五箇中学校 3年 鈴木沙葵

 六四三万トン。これは環境省が四月に発表した平成二十八年度の食品ロスの重さのことです。食品ロスとは「本来食べられるにも関わらず、捨てられてしまう食べ物のこと」です。

 昨年の夏、私は職場体験であるホテルに行きました。そのホテルでは宴会も行われていました。厨房でお手伝いをしていると、宴会で残った食べ物が運ばれてきました。私は残された食べ物を見て、とても驚きました。一口しか食べられていないものや手を付けずにそのまま厨房へ戻ってきたものが多かったからです。とてももったいないと思いました。残った食べ物を分けるように指示され、ご飯や野菜、肉、魚と、みそ汁や水、お茶などを分けて捨てました。ごみ箱の中にはたくさんの残飯があり、一回の宴会でこんなにごみとされてしまうのはとても残念だと思いました。次の日の午後も同じ作業をしました。しかし、同じでないことがありました。昨日の宴会と人数は変わらないはずなのに、残飯の量が増えていたのです。なぜこんなに余ってしまうのでしょうか。

 まず、出している料理の量が多いのではないかということです。予算やお客様の好み、栄養バランスなどを考えてその量にしているとは思います。しかし、毎回の宴会でたくさん残って戻ってくることに関して、もう少し考えてもらえたらと思います。毎日働いている人にとっては当たり前だと思ってしまうことを見直して欲しいです。

 次に、食事をしている人の好き嫌いによって残すことです。宴会に参加する大人にも好き嫌いはあると思います。私も嫌いな食べ物がいくつかあります。でも、食事をする側の人が少しでも残さないように努力することも大事です。

 私は小学校四年生までは嫌いな食べ物を残していました。今は残すことはありません。残さないようになったのにはきっかけがあります。五年生の時にある農園へ行き、アスパラガスの収穫を体験しました。中腰で一本一本切りとるその収穫作業はとても大変だったことを今でも覚えています。大変な作業を繰り返して多くの食べ物が作られてきたということを、その時初めて知りました。大変な作業をしてきて、たくさんの人に食べてもらいたいという生産者さんは多いと思います。農園で教えて下さった農家さんや生産者さんを思うと、残さず全て食べなくてはいけないと感じました。次の日からは給食や家で食べるご飯を残さないようにしました。たくさんの人の苦労が積み重なったものを食べて、私達は生きているのです。

 家庭で発生する食品ロスは、大きく三つに分類されます。一つ目は食べ切られずに廃棄された食べ残し。二つ目は賞味期限切れなどにより使用・提供されず手つかずのまま廃棄された直接廃棄。三つ目は厚くむき過ぎた野菜の皮など不可食部分を除去する際に過剰に除去された過剰除去です。食べ残しをしないようにすること。食べられる分を作ること。買いすぎないように冷蔵庫の中を確認してから買うこと。賞味期限を考え、すぐに食べる場合は陳列されている順に商品を取ること。できるだけ皮は薄くむいて、食材を無駄なく使い切ること。食品ロスを少なくするために中学生の私にもできることがあります。

 日本はとても裕福な国であり、食品ロスが多い国でもあります。一人ひとりがご飯を残さず食べたら終わるわけではありません。コンビニやスーパーの売れ残りの問題もあります。しかし、日本で暮らす私達一人ひとりが意識をすることで変わってくるのではないでしょうか。ご飯を食べられることに感謝し、六四三万トンの食品ロスを減らせるように、みんなで協力しませんか。