第41回少年の主張 福島県大会 優良賞

優しさの連鎖

須賀川市立小塩江中学校 3年 滝田和佳

 「応援されると人は強くなれる。」私は、そう思います。私は、全校生二十四人の学校の女子卓球部の部長です。入学当初は学年の女子は私一人で、団体戦も組めない状態でしたが、今年は部員が八人になりました。

 最後の中体連大会団体戦。力を合わせて戦いましたが、あと一セット、あと一点というところで、県中大会の切符は、私たちの手をすり抜けていきました。皮肉なことに個人戦は私一人が勝ち残りました。喜びよりもみんなと一緒に県中に行けない悔しさの方が強くて泣いてしまいました。そんな時、親友がそっと「個人戦で県中大会頑張って。」とだけ言ってくれました。

 県中大会前日。学校で壮行会が行われました。たった一人の私のために、全校生、全先生が応援してくれました。それだけでも十分でしたが、その時の教頭先生のお話に私は、心が震えました。「一年生の時は女子一人で、二年生の女子三人と合計四人での卓球部でした。それが今は八人に増えて。今の卓球部がここまで来られたのはあなたの頑張りのお陰です。」部長としてこの上ない言葉です。そして先生は全校生に向かって、こう語りかけました。「あなたたちは一人になったことがありますか。滝田さんは明日、一人で戦ってきます。勇気を持って試合に臨めるよう、全校生で応援を頑張りましょう。」

 私は一人じゃない。たった一人だけど、孤独じゃない!そんな気がしました。生徒会長が「本当に自分のことのように嬉しく思います。学校からみんなで応援しています。」と言ってくれました。普段の彼からは想像できない言葉にとても驚き、とても嬉しく思いました。力強い太鼓の音と応援団の声が心の奥まで響いてきました。私も所属している生徒会のメンバーがでっかいプラカードを一枚ずつ掲げ、「和佳さん」「県中大会では」「全力で」「頑張れ」と言ってくれました。しまいにはクラッカーまで鳴り響き、驚きと感動が同時に襲ってきて、こらえていた涙が一気にあふれ出しました。「この温かい人たちにきちんとお礼を言いたい。」そう思いましたが、涙があふれて、全く言葉になりませんでした。

 大会当日。私は、壮行会のクラッカーテープをお守りとして瓶に詰め、バッグに入れておきました。「みんなの思いがここに詰まっている。」そう思うとこの瓶がたまらなく愛おしく思えました。そして迎えた一回戦。順調に二セットを連取し、あと一セットで勝利というところで二セット取られてしまいました。決めるべきところで決められない。私の悪い癖です。それでも親友が懸命に励ましてくれたお陰で持ち直しました。「絶対に勝ちたい。」こんなにも勝利を奪いたいと思ったことはありませんでした。「絶対できる。だって、私は独りじゃないんだから。」最後のセット。何とか奪い返し、私は一回戦を突破しました。二回戦は負けてしまいましたが、自己最高のプレーができ、全く後悔はありませんでした。

 あれから一ヶ月半。友人、家族、先生、地域の方々。たくさんの人々に私は支えられて生きている。そのことに改めて気付かされました。壁にぶち当たったとき、一人でも戦わなければならない時、あの経験が、あの言葉がこれから先も私を支え続けてくれるでしょう。心からの応援は、人を強くし、前に進む力を与えてくれるのです。応援の力がいかにすごいか、私は身をもって知ることができました。だから今度は私がみんなを応援する番です。辛い時や悲しい時、時には大きな声で、時には静かに応援してあげられる人に私はなりたい。そして、これから出会うたくさんの頑張っている人達を私が応援することで、その人達もまた他の誰かを応援してくれたら。優しい応援の連鎖はどこまでも続いていくのです。

「宣誓。私はこれからもいろんなことに挑戦している人を応援し続け、優しさの連鎖の輪を広げていくことをここに誓います!

  小塩江中学校 卓球部部長 滝田和佳」