第42回少年の主張 福島県大会 優秀賞

友達の意味

白河市立白河南中学校 3年 鈴木 陽


 「フレネミー」という言葉を知っていますか。友達を意味する「フレンド」と敵を意味する「エネミー」を組み合わせた造語です。直訳すると「ライバルであると同時に友達である人」「友達を装う敵」を意味します。あなたの友達は、前者と後者、どちらでしょうか。

 「AがBの悪口を言ってたよ」「一緒にトイレ行こう」「Cは私の味方だよね」私は今まで、このような言葉をたくさん聞いてきました。まるで、一人が一つのグループにしか所属してはいけないかのように感じられます。

 つい最近も友達から友人関係の悩みを相談されました。親友で、何をするにも一緒だったのに、ふとしたことがきっかけで、口もきかなくなってしまったというものです。2人は互いに別のグループを作り、悪口を言い合って、説得のかいなく、自分を正当化するようになってしまいました。その姿を見ていると、以前まで「親友」と言っていたことが、夢だったのではないかとさえ思います。そして、私自身も、グループに入ったり、外れたりしたこともあります。

 グループの中にいる時は、「友達」という言葉に守られています。しかし、外れた瞬間にそれは破られてしまいます。互いに「友達だよね」と確認し合うことで、存在を認めさせ合っているように感じられます。そして、グループの中で一人だけ異論を持つことは許されないのです。

 「人は一人では生きていけない」とよく言われます。元々群れを作って生活する動物だったので、この言葉は間違っていないのかもしれません。しかし、自分の考えを殺してまでグループに入り、「友達」の仮面を被り、相手の顔色を伺いながら過ごしていかなければいけないのなら、私は「一人でいること」を選択したいです。「友達」とは、「フレネミー」の前者の意味、自分のことをきちんと理解してくれ、悪いことは注意してくれる、そして互いに助け合って高め合える人だと思います。

 人と人には相性が存在するし、誰しも得意不得意があります。そのため、そんなに簡単に「フレネミー」を見つけられるものではないと思います。自分のペースで一緒に歩いてくれる人を探すために誰かの悪口を言ったり、自分の意見を他の人に合わせたりすることはするべきではないと思います。意見が互いにすれ違ってしまうからといって、離れたり、陰口を言い合ったりすることはやめるべきです。意見の合わない人はその人なりの考えがあります。相手を尊重し、自分も考えを受け入れて意見を交換することで、その人との距離が縮まってくるのではないでしょうか。

 また、私は「言葉選び」も大切になってくると思います。中学2年生の時、生徒会活動で参加した話し合いでも、「たった一文字変わるだけで印象が大きく変わる」ということを学びました。自分は相手にどのような気持ちを伝えたいのか、相手はどのような意図でその言葉を使ったのか、よく吟味し相互理解につなげていくことが重要だと考えます。

 「友達」という言葉の意味、もう一度みんなで考え直してみませんか。友達と話す時、仮面を被ってしまっていませんか。隣にいるその人に、自分の意見をはっきり言えますか。「友達」という重い看板を一度降ろして、考えてみてください。

 狭い世界だけで生きていく必要も、今目の前にある人間関係にこだわる必要も無いと思います。きっといつかは、あなたを心の底から好きだといってくれる人が現れるから、その時が来るまで勇気を出して自分らしく生きてみませんか。私もいつか、心から信じ合える「フレネミー」ができることを信じて、自分らしく前を向こうと思います。