第42回少年の主張 福島県大会 優良賞

今の私たちは・・・

会津美里町立高田中学校 3年 小林 佑惟子


 「今年の中学3年生はかわいそうだね。まけないでがんばってね。」
何気なくかけてもらったこの言葉が心に引っかかりました。
 「私たちってかわいそう。」
その時、私は、なんとなくみじめなような、被害者のような気持ちになりました。

 たしかに、新型コロナウイルスの感染拡大によってたくさんの制限ができました。「休校」「各種大会、コンクールの中止」「ソーシャルディスタンス」「マスクの着用」

 私が部長として取り組んでいる吹奏楽部コンクールも中止になり、今まで掲げてきた目標を達成することが出来なくなりました。いつもの友達との会話も、「密にならないようにしよう。」「マスクをちゃんとしよう。」と距離ができました。ニュースでは、「コロナストレス、子供が危ない」などという見出しも躍っています。

 しかし、私達中学3年生は、本当に「かわいそう」なのでしょうか。改めて考えてみるとある思いがこみ上げてきました。
「私たちは、かわいそうじゃない。被害者にしないでほしい。」
 そう思ったのは、私が今、大きなストレスを感じることなく生活できているからです。確かに、「残念だな」と感じることはありました。もちろん、中学3年生の誰しもが感じるであろう受験のストレスはあります。しかし、今の私は、制限の中でも、今までと変わることなく、充実した学校生活を送っています。

 そこで、私が今、ストレスを感じていない理由を考えてみました。私が今までと変わらない気持ちでいられるのは、沢山の人の、支えがあることに気づきました。家では、何不自由なく気づかいをしてくれる父と話を聞いてくれる母、美里の自然に囲まれ、今までどおりに暮らしています。家族のありがたみを感じています。学校に来れば仲のいい友達がいて、一緒に他愛のない話をして笑います。放課後になれば、コンクールは無くなってしまったけれど、大好きな楽器の演奏を楽しんでいます。先日は、先生方や生徒会が工夫をしてくださり、私たち3年生の部活動の集大成として引退式のような会をひらいてくださいました。運動部は、練習試合ですが引退試合ができると喜んでいました。制限のある生活の中でも、私の毎日は充実しています。これは間違いありません。

 そんな時、私はひとつの言葉をに出会いました。
 「知足」=足ることを知る
 今あることで満足すること。必要以上の欲を持たないこと。という意味があるそうです。この言葉から、今のウィズコロナの時代を考えてみるとどうでしょうか。外出ができない。旅行ができない。「○○ができない。」とできないことを挙げていくと、いやな気持ちになり、ストレスがたまります。「今できる目の前のことに感謝する。」「今できることをどう楽しむか。」「今できることを一生懸命やる。」これが出来れば、きっと毎日が充実すると考えています。

 「中学校最後の1年を友達と仲良く楽しく過ごしたい。」「勉強や受験をみんなで励ましあって頑張る。」今、私はそんな目標を持っています。この目標は、去年の中学3年生もそのまた前の3年生もきっと同じだったはずです。

 みなさん、私たち、中学3年生のことを「かわいそう」と言わないでください。なぜなら、私は、今を楽しみながら精一杯前向きに生きているからです。たくさんの支えてくれる人たちへの感謝を胸に充実した今を生きています。