第42回少年の主張 福島県大会 優良賞

自分を信じること

喜多方市立塩川中学校 3年 花見 紗和子


 中学校3年生になった私は、今、保健委員会の委員長を務めています。保健委員長として活動していくうちに「責任」という言葉の重みを感じています。

 昨年までの委員会は、健康観察、トイレットペーパー・石けんの補充などを行っていましたが、今年は、「新型コロナウイルス」の影響で仕事も増えました。昇降口前に接触感染予防のための除菌ジェルの設置、教室のドアの取っ手や電気のスイッチの除菌などが主な活動です。委員長になったばかりのときの私は、委員長としての役割が分からず、不安な思いをすることがありました。それは、友人からかけられた一言でした。
 「自分からやるって言ったのだから、責任もってやりなよ。」
とても重く心にのしかかりました。確かに、委員長をやると決めたのは自分。委員長として責任を持って仕事をすると決めたのも自分。そう考えると、自分の言葉や行動に責任を持てない自分が馬鹿らしく思えてきました。他人の前で弱音を吐いた自分に何が「責任を持つ」だと自分で自分に呆れてしまいました。あまり接したことがない人に仕事を頼むことが苦手な私は、自分がやればいい、自分がやれば人に嫌な態度をとられることもないだろう、そう思いました。でも実際、一人ですべてを行うことなんてできるわけがありません。そんなとき、担任の先生の言葉が私を救ってくれました。
 「委員長の仕事は、仕事を分担すること、委員会を盛り上げることだと思うよ。」
これを聞いた私は、人に頼ってもよいのだと心がとても軽くなりました。それから、私は後輩にも気軽に仕事を頼めるようになりました。それは、保健委員会の誰一人として仕事を頼んで嫌な態度をとる人がいなかったからです。保健委員会の全員が積極的に活動してくれるからです。やるべきことを分担することで、効率もあがり、スムーズに活動することができます。自分一人ですべてを抱え込むことなく後輩たちにも頼ることで、時間も最初の頃より早く終わることができるようになりました。私は、今、感染予防・生徒の健康のため、一生懸命活動している保健委員のみんなを、とても誇りに思います。そして心から「ありがとう」と言いたいです。

 そんな保健委員会のがんばりを認めてもらえた出来事がありました。それは、生徒会長に
 「今、一番、保健委員会ががんばっていると思います。」
と集会での生徒会長あいさつで言われたことです。私たちの努力を見ていてくれる人がいたのだと、とてもうれしく思いました。そして、委員長として私自身の自信となる力強い言葉でした。言葉は、人を傷つけることもあれば、人を支えてくれることもあります。そしてまた、自分の力になる言葉もあります。私は、委員長になったことを、後悔したこともありました。でも、先生や友人に言ってもらった言葉がうれしくて、今は委員長になって良かったと思っています。

 まだ、委員長として未熟な私も、毎日、自分自身と戦っています。毎日、自問自答をしています。上手くいかないときは、へこんで、悩んで、不安になって。少しも楽ではありません。でも、私が委員長を続けていける理由は、保健委員会の仕事がうまくいったときの喜びがあるからです。保健委員会を必要としてくれるみんながいる、共に活動してくれる保健委員の仲間がいるからです。

 みなさんはこの言葉を知っていますか。
 「人を信じよ。しかし、その百倍も自らを信じよ。」
この言葉は日本の漫画家である手塚治虫さんの言葉です。自分を信じるということは実はとても難しいことです。他者の言葉を聞くことも大事ですが、それは自分の考えや思いをもっているうえでのことだと思います。そのためには他人に流されているばかりではいけません。そこで重要なのが自分を信じる力です。自分を強く信じる力があれば他人の評価に左右されず、自分が決めたことを貫けると思います。私はこれからこの言葉を胸によりよい中学校生活を送っていきたいです。